簡易コリメーター

  の調整をするとき皆さんはどのようにしていますか。遠くのテレビ塔や高圧線の鉄塔、山や建物などを使う。又一眼レフの
レンズを無限にセットして接眼部から光線を入れピント板の線を使って調整する。望遠レンズを改造する。いろいろなやり方は
ありますが、私は天体望遠鏡に手を加えて使っています。

まず実際の景色を使う。これは昼間は良いのですが、夜間は結構大変です。次に一眼レフのピント板。これも結構疲れますあ
まり根気良くやりすぎると目が痛くなってきます。次に望遠レンズ。これは結構使えます。但しコストを考えなければですが。前
玉の径が六センチ位の二百ミリ以上のレンズの価格を考えてみてください。ダイレクトにライカの距離計をやろうとすれば10cm
は欲しいところです。

では何故望遠鏡なのか。確かに写真レンズに比べれば価格的に高いものもありますが、別にそんな高級なものを使う必要はあ
りません。35ミリカメラレンズの許容錯乱円は30μm、と良く雑誌などに出ていますがこれで月や星を写すとどのように写るかは
皆さんご存知のことでしょう。でも天体望遠鏡で写すとまるで別物です。望遠鏡のレンズの分解能は写真レンズよりはるかに上で
しょう。

5センチ位の望遠鏡の組み立てキットなら文部省国立天文台公開講座の教材、コルキット・スピカが2500円で、雑誌、天文ガイド
などの通販広告に載っています。さらにケンコーのACクローズアップレンズを使って作るという手も有ります。又トミーから出ている
ボーグシリーズの部品を使えば結構良いものが低価格で製作可能です。私はファミスコと言うボーグシリーズの前身の物を使って
います。これは、トミーとコニカが共同で開発した商品で口径6センチ400ミリF6.6と言う望遠鏡で、セミアポクロマート仕様です。

通常の写真レンズはアクロマート仕様、つまり赤と青の光がピント合焦位置で合うように設計されています。最近の高級望遠レン
ズはアポクロマート設計で売る物がだいぶ増えて来ていますが高価格です。アポクロマートレンズは赤と青と緑の光が合うように
設計されています。詳しくは、カメラメーカーの高級レンズカタログ、例えばキャノンのLシリーズやニコンのニッコールレンズカタログ
等を見て下さい。解りやすく解説されています。

 さて、作り方は簡単です。出来ればジャンクの一眼レフボディがあると最高です ( チャートのゆがみを減らすためにも )。

望遠鏡に手持ちの一眼レフ用のТマウントを取り付けてジャンクカメラを付けます。シャツターをバルブ ( 私のはジャンクなので
フォーカル幕をはずしました ) にして裏蓋を開けフイルム面にピントチャートとなる物を貼り付け、その後ろに乳白色のアクリル板
を置き、さらに後ろから照明を当てて、なるだけ100ミリ以上の無限のきちんと出ている望遠レンズ付き一眼レフで撮影レンズの
ピント位置を無限に固定します。( セロテープなどで仮止めしてください )

この時マグニファイヤーや高倍率ファインダーが有るなら絶対に使用すべきですし、無限が行き過ぎる、つまり無限の位置に範囲
を持たせてあるAFや温度保証をしている高級望遠レンズは使用を避けてください。

カメラのファインダーを使い、望遠鏡を正面から見て、望遠鏡側のピント調節部を慎重に動かし、チャートがはっきり見えるようにす
ればオーケーです。後は望遠鏡側のピント位置が動かないようにロックして、しっかりした台板に固定すれば良いだけです。

但しこのピント調整の時も、これを使ってカメラのピントチェックをする時も、照明には必ず緑色のフイルターを着けてください。何故
かは皆さんも良くご存知のことと思いますが、ヒントはアポクロマートです。

光はプリズムを通ると七色に分解しますね。最近のメーカーのアポレンズカタログにもよく掲載されているのでご存知のことと思いま
すが、色収差、つまり赤色側を使うか紫側を使うかでピントの位置がずれてきます。レンズはプリズムです。赤、橙、黄、緑、青、藍、
紫、この虹の七色の真中。つまり緑で合わせて置けば間違いないでしょう。

パソコンでチャートを作りインクジェットプリンターでOHP用フイルムに印刷すればかっこよく出来ます。是非試してみてください。

先日粗大ゴミに望遠鏡が捨ててありました。捨てるなんてもったいない。口径が9センチでしたので、現在もう一台製作しました。
ピントの移動範囲の大きい望遠鏡だったので接眼部に直接チャートを貼り付け実験したところなかなか良く働いてくれています。


問い合わせの多い質問があります。

6cmや9cmでどうやってライカ等の距離計が調整できるかということです。

そんなに難しく考えないで下さい。私は鏡を使っています。ただし、普通の鏡を使うとガラスの表面の反射とメッキ面の反射。この
二重の反射の対策を考えなくてはいけません。当然ピント位置も2か所出てきます。一眼レフや二眼レフのミラーが表面メッキな
のは、この問題を避けるためです。私はジャンクで入手した大判カメラ用のレフレックスビュアー(ホースマン、ウイスタ等)を使って
います。
これの接眼部のパーツをはずし穴を広げて望遠鏡のフード取り付け部に逆付けします。この状態で引き伸ばし機やコピースタンド
にセットすれば問題なく使えるでしょう。しかもビュアーがフードも兼ねてくれますので、迷光もぐっと減ります。
又、表面メッキの鏡を安く入手する方法としては万華鏡用の鏡があります。ネットでお調べになると結構でています。

現在もうひとつ考えているのはキャビンのスライド映写機です。勘の良い人なら、あの機種かと思い描いていると思われます。投
影とテレビ画面タイプが切り替えできる機種です。ただし、光源がかなり明るいのと発熱がかなりあるのでそのまま使用するのは
非常に危険が伴うと思います(失明や、やけど)。投影切り替え部だけを使用する事を考えたほうが良いと思います。

☆ デジ一眼を使ってコリメーターを調整する。最近入手したパナソニックのLUMIX G1で実験した結果のお知らせです。

ライブビューと画面拡大(マニュアルフォーカスアシスト)機能付きのデジ一眼(オリンパスやパナソニック)にマウントアダプターを使
用してマニュアルフォーカスレンズを付け、拡大機能を使用して月や星にピントを合わせます。もちろんしっかりした三脚を使用して
ください。通常のカメラの測光設定では月が白く飛んでフレアが出ますので、スポット測光に切り替えます。レンズの絞りも開放で
す。拡大率をを10倍にすれば擬似的に100ミリなら1000ミリ、200ミリなら2000ミリのレンズとして月を見れます。副産物として
月のうさぎがはっきりとしたあばたのクレーターになって見えます。絞りを絞っていくとシャープさが増し、ある時点を越えるとにじみ
が増してボケたようになって見える(光の回析現象)のも確認できます。但し、この状態で撮影しても拡大されては写りません。拡
大して見てるだけですから、当然1ミリや2ミリの点にしか写りません。誤解の無いように。
後はこの逆。前の方にも一部記しましたが、デジ一眼の拡大液晶画面でコリメーターのチャートがはっきり見えるようにコリメーター
側のピントを調整すればいいのです。こうすると微妙なボケもはっきり認識でき、精度が格段に上がるのを確認しました。

∞を調整する機材としてデジ一眼結構使えます。もちろんマウントアダプターの精度を無視しては出来ない話なのですが、肉眼で
あわせるよりも遥かに楽です。
機種もマイクロフォーサーズシステムに限定をする必要はないのでしょうが、今の所、マウントアダプターの豊富さには脱帽です。

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